お子さんそして自分を責めすぎないように

発達障害や不登校の支援を行っているとどうしても気になることがあります。最も危惧していることが過度な保護者の方の期待にお子さんが苦しんでいること、ここからお子さんが問題行動を起こしてしまうことです。令和3年度のセンター試験の当日に起こしてしまった事件などはその典型と言える事件です。親の過度な期待は時にというか普通にお子さんにとってのストレスになるということを本当に保護者の方には理解をしていただきたいです。

私の知り合いのある塾の先生も「小中学生の親の選択ミスはお子さんをボロボロにしてしまうこともある」とも言っています。特にお父様に向けて言います。少なくても歯向かってでもそれを乗り越えることができる気の強いお子さんなのか、おとなしくなって黙ってしまうお子さんなのかでまず対応を変えていただきたいです。

特に後者のタイプのお子さんにお父様独自の考えを絶対に押し付けないでいただきたいです。お子さんに何とか頑張っていただきたいのはどのお父様でも一緒です。ただそれを追い込んでよいお子さんとそうでないお子さんがいるということをご理解いただきたいです。この対応を間違えると普通に発達障害・不登校・引きこもり・問題行動・犯罪という行為が起こり得ます。
長年生活をともにしているお父様であればそのような勘は働くはずです。ですのでお子さんを追い込む言動を極力避けてください。

お母様はお父様とお子さんにはさまれてかなり辛い思いをされている方も少なくないのではないでしょうか。お母様には自分そしてお子さんを責めすぎないようにしていただきたいです。お子さんが不登校・引きこもりになってしまって、お父様がイライラしても決して同調をしないようにしてください。お子さんにとって逆効果にはなっても問題の解決には基本的にはつながりません。これは私だけでなく不登校支援を行っている家庭教師センターの大半の方がそのような見解になっています。「無理に学校に行かせることは逆効果以外ない」という見解が不登校支援の通説になっています。

そうかといって自分自身を責めないでください。知り合いで自分自身を責めて精神的に病んでしまった方も何名もいます。お子さんも自分も追い込まないでください。できればお父様に時間を稼いでいただきたいです。基本的に不登校の多くは中学生の3年間程度です。不登校の原因は学力不振・発達障害・いじめ・先生との人間関係のどれかにあたります。特にいじめが多いです。

実は不登校もいじめも原因が複雑に絡んで起こっていることが多いです。いじめっ子のお父さんの職場の仕事や人間関係、いじめっ子のお子さんの親子関係や夫婦関係、いじめられっ子のお父さんの仕事や人間関係、さらに親子関係や夫婦関係、さらにいじめっ子のお子さん・いじめっ子のお子さん・さらには先生を絡めた3者間の人間関係、いじめっ子のお子さんといじめられっ子のお子さんの学力や性格の問題・・。これらが複雑に複雑に絡まって不登校というものが起こっているケースがとても多いと感じています。1個や2個の問題であればお子さんも我慢して学校には行きます。

それが5個・6個重なったら学校に行けなくなってしまうのも無理はないでしょう。おそらくお父様でも会社に行けなくなって辞めてしまうのではないでしょうか?お父様が難しいことをお子さんに押し付けては絶対にいけません。それらの複雑な問題に向き合わずもせずに、単にお子さんに対して「なんで学校に行かないんだよ、行けよ!」というのはなんの解決にもならないということです。

ではどうすればいいのか?まずはお子さんの不登校というものをお父様とお母様で受け入れていただきたいです。おそらく半年・1年程度はかかるかもしれません。それでも受け入れて理解するところから始めることが不登校の解決で最善だからと考えているからです。理解して受け入れることでお子さんは少しずつ学校に行かなければならない・親に申し訳ないと逆に思ってきます。逆に行けよ・行けよでは反発されて引きこもってしまうだけです。

お父様も上司や先輩にしたくない仕事を次々にされて嫌な顔をして「何だよ・その態度!」とかでトラブルになったこともあるかと思います。それで「はい・分かりました」と素直になれるでしょうか?それを考えていただければ答えが出るはずです。「なんだこのくそ野郎」と上司に歯向かうか・後輩や部下さらにはパートなどに当たってしまうなどの経験が少なからずあるはずです。お子さんも同じです。ですので原因を何も考えずに単に「学校に行けよ!」だけではどうしても済ませてほしくないんです。お子さんのことが本当に好きなお父様であればここだけでもいいので我慢をしていただきたいです。

あとはお母様が不登校関連の専門機関に相談いただきたいです。今は家庭教師・個別指導・放課後デイサービス・市役所などの行政機関・不登校支援親の会・・・など様々なところがあります。まずはお金のかからないところから相談に行ってみても良いかもしれません。お父様はお子さんへの我慢と受け入れ・お母様はお子さんへの理解と次のステップのための相談。まずはここから行ってみるといいのではないかと思われます。ここから必ずきっかけがつかめます。「急がば回れ」この言葉がぴったり当てはまるのではないかと考えています。